絶望的な出来事について。 旅行はホントに楽しかったです。 今となってはほろ苦い思い出ですが行けて良かったと思います。 実は旅行に行く前に、 「旅行が終わるまでに俺かIかどちらか選んでくれ」 というなんとも無茶な約束を交わしていました。 あ、Iと言うのは、彼女の現彼氏です。 ですが、その約束は果たされませんでした。 電車の中で、決め切れていないと言われました。 それは仕方のないことだと思っていましたが、内心カナリ凹んでいました。 美恵子に慰められて、ちょっとだけ泣きました。 旅行が終わってからも、ちょくちょく会っては他愛のないデートを繰り返しました。 それは、果たされなかった約束の答えを聞くためでもありました。 ある日、僕にとって聞きたくない答えを聞いた日。 僕は自転車で転びました。 うわべでは平静を装っていましたが、大きく動揺していたみたいです。 たいしたことはなかった筈なのですが、頭がくらくらして不安になり、 親に内緒で病院にいきました。 なにやら大げさな検査をしました。初めてCTスキャンを経験しました。 さまざまな検査の結果、医者が導き出した答えは、 「脳血種」 と言うものでした。 転んだ際に、後頭部を強く打ったのが直接の原因ですが、 ストレスにより、血種の元が沢山できているとのことでした。 脳幹の奥に出来ているために手術が難しく、失敗は死を意味しているので、 手術は断念し、放射線による治療と薬で少しづつ抑えていくとのことでした。 その間、ストレス、大きな音、激しい運動は控えるようにと言われました。 特に、ストレスを与えて血種が破裂すれば、命の保障はないとのことでした。 … … 僕はすべて上の空でした。 僕が死ぬ?たかが自転車で転んだ程度で? 有り得ないほどに動揺していました。 美恵子にも大きな不安を与えました。 二人で暮らしだしたから数ヶ月。色んなことがあって、 やっと美恵子自身、現代を楽しみ、生を謳歌し始めたころでした。 幸せに向けて動き出していた人生が一転、絶望に変わりました。 続きはまた次回…